ITPとは
ITPは免疫性血小板減少症(Immune thrombocytopenia)のことで、血小板減少症の1つであり、特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic thrombocytopenic purpura)とも呼ばれていた疾患です。血液中の血小板が減少するその他の疾患や薬剤の使用歴がないなか、血小板が減少し出血しやすくなる後天性の自己免疫疾患です。
新たにITPを発症する人の数は年間で10万人あたり2.16人と推計され、発症頻度が高いのは4歳以下の小児、そして成人では20~34歳の女性および高齢者とされています1)
発症した患者さんの中には、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているケースがみられます。また、小児で発症するITP(小児ITP)では発症前にウイルスに感染していたり、ワクチン接種していたりする場合があります。
ITPは、冒頭で説明したような血小板が減少するその他の疾患や薬剤の使用歴がない状態で発症する一次性ITPと、他の疾患(全身性エリテマトーデスなど)に伴って発症する二次性ITPに分類されます(※1)。
※1 このWebサイト内で特に記載がない場合は、一次性ITPのことをITPとしています。
ITPの原因
体内で作られた血小板に対する「自己抗体(※2)」が血小板の破壊を促すと考えられています。具体的には、自己抗体が血小板と結合し脾臓(ひぞう)(※3)での血小板の破壊が促進されることで血小板が減少します。
また、自己抗体が血小板を産生する巨核球にも作用し血小板産生が妨(さまた)げられることで、血小板が減少することなどもわかっています。
ただし、なぜ自己抗体が産生されるかはいまだあきらかにはなっていません。
※2 自分のからだの成分に対する抗体。本来、抗体は外から侵入してきた細菌やウイルスなどを攻撃するために作られます。
※3 古くなった血球(赤血球、白血球、血小板)を壊したり、血小板を貯め込んだりするはたらきなどがある臓器です。
ITPの症状
血小板の主な働きは、出血を止めること(止血)です。ITPの患者さんは血小板が減少しているため出血しやすく、また血も止まりにくくなっているため以下の症状が現れることがあります。
- 皮膚にポツポツと点状に現れる出血(点状出血)
- あざ(紫斑)
- 歯ぐきなど口の中のやわらかい組織(口腔粘膜)からの出血
- 鼻血
- 便に血が混じる・便の色が黒い(消化管出血)
- 尿に血が混じる
- 月経過多
- (重症な症状として)脳出血
このほか、疲れやすさや、血小板の数値に不安を覚えて心理面・感情面で負担を感じる患者さんもいます2,3)。

点状に現れる出血

やわらかい組織からの出血


便の色が黒い


歯ぐきなど口の中のやわらかい組織からの出血、鼻血、便に血が混じる・便の色が黒い、尿に血が混じるなどの症状は血液中の血小板数が1.5万/μLを下回ると、急激に増加するとされています4)。
いずれの症状も特異的な症状(ある疾患にだけみられる特徴的な症状)ではないため、診断が難しい疾患とされています。
- 1)Kurata Y, et al. Epidemiology of primary immune thrombocytopenia in children and adults in Japan: a population-based study and literature review. Int J Hematol. 93(3): 329-335,2011
- 2)Cooper N, et al. Immune thrombocytopenia (ITP) World Impact Survey (iWISh): Patient and physician perceptions of diagnosis, signs and symptoms, and treatment. Am J Hematol.96(2):188-198,2021
- 3)Cooper N, et al. Immune thrombocytopenia (ITP) World Impact Survey (I-WISh): Impact of ITP on health-related quality of life. Am J Hematol.96(2):199-207,2021
- 4)Hato T,et al. Risk factors for skin, mucosal, and organ bleeding in adults with primary ITP: a nationwide study in Japan. Blood Adv.4(8):1648-55,2020
監修:埼玉医科大学病院 血液内科 教授 宮川 義隆 先生