問診や検査で他の疾患がないことを確認し診断されるITP
問診・診察や血液一般・形態検査、生化学検査などを行い、血小板が減少する他の疾患がないことを確認してITP(免疫性血小板減少症)と診断されます。
問診・診察
問診では、過去の健診結果や家族歴、服用している薬剤、どんな症状が現れているか(鼻血や黒い便が出る、尿に血が混じる、歯ぐきなど口の中のやわらかい組織からの出血など。女性であれば月経過多)、症状が現れた時期、感染症にかかっていないかなどを聞き取ります。
診察では、皮膚の出血症状を実際に確認します。ITPの場合は点状出血(皮膚にポツポツと点状に現れる出血)やあざ(紫斑)であることが多く、血友病などでみられる関節や筋肉で起こる内出血はまれです。
成人の場合は、出血症状がみられない例も少なくありません。
血液一般・形態検査
血液一般・形態検査では、血球それぞれの数や形に異常がないか、血小板の固まりの有無などを顕微鏡で観察します。
ITPは基本的には血小板減少以外の血球系の異常はみられませんが、血小板減少に伴う出血あるいは鉄欠乏性貧血がしばしば認められます1)。
生化学検査・凝固検査
採血した血液から、肝機能や腎機能の数値に異常がないか、炎症反応が起きていないかなどを調べます。出血を止める働きに異常がないか調べる凝固検査も行われる場合があります。
ITPはこれらの検査では基本的に異常はみられません。
骨髄(こつずい)検査
採取部位の腸骨(腰の骨)に局所麻酔をしてから、骨髄を採取します。
骨髄検査はITPの診断に必須ではありませんが、他の疾患がないことを確認するために行われることがあります。末梢血で白血球数や白血球の一種である好中球・リンパ球の比率に異常がみられたり、成熟していない白血球(幼若白血球)がみられたりする場合などに実施されます。
また、治療を一定期間行っても改善がみられないケースでも、骨髄検査が行われることがあります。
その他の検査
肝硬変、脾臓腫瘍、門脈圧亢進症などの他の疾患がないことを確認するために、腹部超音波検査、腹部CTなどが行われることもあります。
ITPの場合は血小板の破壊によって血小板の寿命が短くなっているため、成熟していない血小板(幼若血小板)の割合が高い傾向にあり、この割合を調べる幼若血小板分画比率測定がITPを診断する上で有用とされています。また、再生不良性貧血が原因でないことを調べる血漿トロンボポエチン(TPO濃度)測定も同じく有用とされていますが、この二つは保険適用外の測定法です。
診断
上記の検査を経て、10万/μL未満の血小板減少が認められ、白血球数などに異常がなく、血小板減少を引き起こす他の疾患がないことを確認できた場合にITPと診断されます1)。
血小板が減少する他の原因・疾患
ITPの診断には、血小板減少を引き起こす他の疾患がないことを確認することが重要です。ここでは確認すべき原因・疾患を紹介します。
確認すべき原因・疾患の例1)
- 先天性(遺伝性)血小板減少症
- 薬剤性血小板減少症
- 妊娠性血小板減少症
- 再生不良性貧血
- 骨髄異形成症候群(MDS)
- 血栓形成亢進を伴う血小板減少症(播種性血管内凝固症候群(DIC)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、抗リン脂質抗体症候群(APS)など)
- 二次性ITP(膠原病(全身性エリテマトーデス(SLE)、混合性結合組織病、シェーグレン症候群など)、リンパ増殖性疾患など)
- 1)柏木浩和 ほか(厚生労働省難治性疾患政策研究事業 血液凝固異常症等に関する研究班 「ITP診断参照ガイド」作成委員会).成人免疫性血小板減少症診断参照ガイド2023年版.臨床血液64(10):1245-57,2023
監修:埼玉医科大学病院 血液内科 教授 宮川 義隆 先生